営業職の皆さん、目標設定は営業力を向上させるための不可欠な要素です。しかし、ただ目標を立てるだけではなく、それが具体的で、達成可能で、計画的であることが重要です。そこで、本記事ではSMARTの法則を活用した目標設定について詳しく解説し、営業成績を飛躍的に向上させる方法を紹介します。
SMARTの法則とは何か?
何故SMARTの法則が重要なのか?
営業において成功するためには、具体的な目標を設定し、それを達成するための戦略を立てる必要があります。SMARTの法則での目標設定は、そのための手法の一つであり、目標設定の基本原則を体系化したものです。この手法を用いることで、目標が曖昧でなくなり、達成の方向性が明確化されます。
SMARTの法則の基本原則
SMARTの法則の基本原則は以下の通りです。
- 具体性(Specific): 目標は具体的であり、曖昧さがないこと。
- 測定可能性(Measurable): 目標が達成されたかどうかを明確に測定可能であること。
- 達成可能性(Achievable): 目標が現実的であり、達成可能であること。
- 関連性(Relevant): 目標が組織の目的や戦略に関連していること。
- 期限設定(Time-bound): 目標が達成される期限が明確に設定されていること。
SMARTの法則の方法
具体的なSMARTの法則を活用した目標を設定するためには、以下のステップが必要です。
具体性(Specific)の確保方法
「何を達成するか、誰が、どこで」 をはっきりさせます。
たとえば、「売上を上げる」では曖昧すぎます。
- × 曖昧な目標例:売上を上げる
- ○ 具体的な目標例:月商 200 万円を売る
- さらに良い例:月商 200 万円を新規顧客 5 社で売る
「どの顧客層で」「どの手法で」「どのくらい」などを具体的に入れるほど、目標が使える意味のあるものになります。
測定可能性(Measurable)の確保方法
目標には 数値化できる指標 を入れないと、達成したかどうかがあいまいになります。
営業なら「売上」「件数」「件数比率(成約率)」「新規訪問件数」「フォロー件数」などが使いやすい指標です。
- 例:月商 200 万円 → 測定可能
- 例:毎日行動を増やす → 定義が曖昧 → 「1日訪問件数を 3 件以上にする」などに落とすと測定可能になる
測定可能ではない目標だと、進捗が見えず、修正が遅れ未達成となりがちです。
達成可能性(Achievable)の確保方法
高すぎる目標はモチベーションを削ぎ、低すぎる目標は成長を促しません。
自分の営業力・環境・リソースを考えて、「少し苦しいが届きそうなライン」を狙いましょう。
例えば、過去実績から月商が最大 180 万円だったなら、200 万円を目指すのはチャレンジですが、300 万円などは難しすぎるかもしれません。
達成可能性を見積もる際は、以下も考慮に入れると現実的な目標が立てられます
- 自分が持っている見込み客数
- 市場・商材の特性
- 他案件との競合状況
- 自分の稼働可能時間
関連性(Relevant)の確保方法
目標は、会社目標や自身の成長計画、営業戦略と結びついていなければ意味が薄くなります。
「なぜこの目標が必要なのか」「これを達成すると何が変わるのか」を自分なりに言語化しておきましょう。
たとえば、新規顧客件数を増やす目標なら、それによって売上基盤が安定する → 将来的な収入予測が安定する、という道筋を意識できると目的が明確になります。
期限設定(Time-bound)の方法
いつまでに達成するかを明らかにすることで、目標に切迫感が生まれ、行動に落とし込みやすくなります。
- 例:月商 200 万円を「今月中に」「4 週間以内に」
- 例:新規顧客 5 社を「第 1 四半期までに」
期限がないと、「いつかやろう」「余裕があるときに」と先延ばしされやすくなります
SMARTの法則のメリットと利点
SMARTの法則には、以下のようなメリットと利点があります。
- 目標が明確になり、行動計画を立てやすくなる
- モチベーションが向上し、目標達成への意欲が高まる
- 成果が測定可能になり、進捗を把握しやすくなる
SMARTの法則の落とし穴と解決策
SMART目標設定を行う際には、以下の落とし穴に注意する必要があります。
目標が具体的でない場合の問題点
具体的な目標がないと、行動計画を立てることが難しくなります。目標を具体的に設定しましょう。
目標が達成不可能な場合の問題点
達成不可能な目標を設定すると、モチベーションが下がる恐れがあります。目標が現実的かどうかを慎重に検討しましょう。
目標が関連性がない場合の問題点
関連性のない目標を設定すると、ビジネスの戦略や目的に寄与しない可能性があります。目標がビジネスの成長や利益につながるかどうかを考えましょう。
期限が設定されていない場合の問題点
期限が設定されていないと、目標達成までのスケジュールが不明確になります。目標に達するまでの期限を明確に設定しましょう。
NG な目標例と、SMART 目標に直す例
以下に、営業マンがやりがちな NG 目標と、それを SMART 目標に変える例をいくつか示します。
| NG 目標 | SMART 目標に変換した例 |
|---|---|
| 「売上を上げたい」 | 「今月、月商 180 万円を達成する」 |
| 「もっと案件を増やす」 | 「第 1 四半期に新規案件を 10 件獲得し、うち 3 件を受注する」 |
| 「今よりもっと動く」 | 「毎週、見込み客 20 社にメール送付・電話架電を行う」 |
| 「お客様満足度を高めたい」 | 「月末までに既存客 NPS を +10 点向上させ、要望ヒアリングを最低 15 件行う」 |
これらの変換例を見てわかるように、SMART にすることで「何をやるか」「どれくらいやるか」「いつやるか」が明確になります。
SMART 目標を成果につなげるコツ
SMART 目標を立てただけではまだ十分ではありません。以下のポイントを押さえると、目標達成率がさらに高まります。
目標は階層化する(大 → 中 → 小)
大きな目標だけでなく、中間目標・日次行動目標にまで分解しましょう。
たとえば、
- 年間目標 → 月次目標 → 週次目標 → 日次行動目標
という流れで落とすと、日々「今日はこれをやればいい」という行動が明確になります。
リスクと障害を先に考える
目標を立てた段階で、「この目標を妨げそうな要因(リスク)」を洗い出しておきます。
例:顧客の反応が鈍い季節、競合キャンペーン、予算削減、営業時間の制約など。
そして、それに対する対策(予備手段)もあらかじめ準備しておくと、ズレが出たときのリカバリー力が上がります。
意識と行動を毎日連動させる
目標を頭だけで持っていても、日常の行動に結びつかなければ意味がありません。
できれば、朝礼・日報・チェックリスト などで「今日やること」を毎回、目標との整合性を確認する仕組みを入れましょう。
進捗を定期チェック・修正可能にする
例えば、毎週の振り返りタイミングを設け、目標とのズレを評価します。
ズレが大きければ、行動の量・質を変える、あるいは部分的に目標を修正することも検討します。
目標を仲間や上司と共有する
誰にも見られていない目標と、公に宣言した目標では責任感が違います。
目標設定後にやるべき「見える化」と振り返り
目標は「見える化」することで、その力はグッと強まります。
見える化の手段
- 壁に貼るホワイトボード・紙→進捗を視覚的に確認
- スプレッドシートや Google シート→数字を自動集計できるように設定
- 営業管理ツール/CRM の KPI ダッシュボード活用
- 日報アプリ・タスク管理ツールと連携
進捗が目に見えると、日々の行動がリアルに意識されます。
振り返りの方法
振り返りには以下の基本ステップを設けるといいでしょう
- 目標と実績の比較
- ギャップの原因分析
- 成功したこと・改善すべきことを洗い出す
- 次期目標・行動に反映させる
振り返りは月次・週次・四半期ごと、段階を設けてやると効果的です。
まとめ
営業力を向上させるためには、SMARTの法則が重要であることが理解できたと思います。適切な目標設定を行うことで、行動計画が立てやすくなり、モチベーションが向上します。SMARTの法則から学んだポイントを活用し、自分を見つめ直し営業活動に取り入れてみましょう。

