はじめに
営業において「雑談」は軽視されがちです。
「時間の無駄じゃないか」「本題に早く入ったほうがいい」と思う方もいるかもしれません。
しかし実際には、商談がうまく進むかどうかは、本題に入る前のたわいもない会話で決まることが多いのです。
本記事では、雑談がなぜ営業の信頼構築に役立つのか、その心理学的な背景と実践方法を解説します。
雑談が営業で果たす3つの役割
1. 相手の警戒心を解く
人は初対面や商談の場では、本能的に「相手に警戒する」心理が働きます。
そこで雑談を交えることで、「この人は敵ではない」と相手の心を緩めることができます。
例えば、天気や季節の話題はシンプルですが効果的です。相手が「そうですね」と頷ける共通点から会話が始まると、安心感が生まれます。
顧客に安心して打合せに参加してもらうことが、良い結果を出すためには重要です。
2. 共通点を見つけ、距離を縮める
心理学では「類似性の法則」と呼ばれるものがあります。
人は自分と似た価値観や経験を持つ相手に親近感を抱きやすいのです。
趣味、出身地、子どもの年齢、最近見たドラマなど、些細な共通点を見つけることで、「この人と話すのは心地よい」と感じてもらえます。
3. 人柄を伝える自己開示になる
雑談は、営業マン自身の人間味を伝える機会でもあります。
「休日は釣りに行くんですよ」「最近、子どもが野球を始めて…」などの話は、営業マン=商品を売る人から、○○さん(営業マン)=親しみやすい人へと印象を変えます。
ちゃんと、一人の人間として認識してもらうきっかけは雑談です。
この自己開示が「信頼」の第一歩になるのです。
雑談が信頼を生む心理学的背景
ミラーリング効果
相手と似た仕草や言葉を自然に取り入れると、相手は無意識に親近感を持ちます。
雑談の中で「相手が笑えば自分も笑う」「同じ言葉を少し繰り返す」などが効果的です。
好意の返報性
人は自分に好意を向けてくれる相手に好意を返そうとします。
雑談の中で「そのアイデアいいですね」「素敵な趣味ですね」とポジティブな反応を返すことで、自然に相手もあなたに好意を持ちやすくなります。
詳しくは「営業の必勝法!成功への近道「返報性の原理」とは?」で説明しているので参考にしてください。
感情の共有が信頼を強化する
人は「同じ感情を共有する相手」に強い親近感を抱きます。
楽しい話題や共感できる体験を雑談で交わすことは、信頼関係を築く大きな武器になるのです。
営業で使える!雑談の実践テクニック
最初の30秒は無難な話題から
天気、季節、ニュース、社内のちょっとした出来事など、相手が答えやすい話題で始めるのが鉄則です。
「オープンクエスチョン」で会話を広げる
「はい/いいえ」で終わる質問ではなく、
「○○さんは趣味とかあるんですか?」「普段はどんな休日を過ごされていますか?」など、自由に話せる質問を使いましょう。
相手の反応を観察して深掘りする
雑談の目的は「盛り上げること」ではなく「相手の心を開くこと」です。
表情が明るくなった話題は深掘りし、逆に興味が薄そうなテーマは引きずらず切り替えましょう。
相手が喜ぶ会話をするのが、雑談では重要となります。
小さな共通点を逃さない
「その時計、私も好きなブランドです」「実は私もサッカー観戦が趣味でして」など、小さな共通点をその場でキャッチしましょう。
共通点が関係性を一気に近づけてくれます。
雑談を商談の橋渡しにする
ただ盛り上がるだけでは意味がありません。
「そういえば、御社の新しいプロジェクトも○○に関連していますよね?」と雑談から本題に自然に移行できると理想的です。
雑談が苦手な営業マンへのヒント
- 事前準備をする
ニュース、業界動向、相手の会社の情報をチェックしておくと、雑談の材料に困りません。 - 無理に盛り上げなくてもいい
「聞き役」になるだけでも十分です。相手に気持ちよく話してもらえれば成功です。 - 反復練習する
日常のちょっとした会話(コンビニ、タクシー、同僚とのやり取り)で雑談力を磨くことができます。
まとめ
営業における雑談は「時間つぶし」ではなく、信頼関係を築くための心理学的なテクニックです。
- 警戒心を解く
- 共通点で距離を縮める
- 自己開示で人柄を伝える
この3つの効果を意識して雑談を活用すれば、商談はスムーズに進み、売上にも直結していきます。
「雑談のうまい営業は、信頼をつかむ営業」
ぜひ、日々の商談で実践してみてください。