はじめに|「話は通じているのに決まらない」商談の正体
商談が終わったあと、こんな感覚を持ったことはありませんか?
- 話はきちんと聞いてくれた
- 内容も理解してくれた
- 否定的な反応もなかった
それなのに、
なぜか決まらない。
次のアクションが曖昧になる。
連絡がフェードアウトしていく。
営業としては
「どこが悪かったんだろう?」
と振り返るものの、明確な原因が見つからない。
このタイプの商談が決まらない理由は、
論理不足ではありません。
多くの場合、
相手の感情が決断する位置まで動いていない
それだけなのです。
「納得」と「決断」は、まったく別物
営業の現場では、
「納得してもらえた=決まる」
と思いがちです。
しかし実際は、
- 納得:話として理解できた状態
- 決断:自分が選ぶ覚悟ができた状態
この二つの間には、
大きな溝があります。
論理は「頭」を動かしますが、
決断を動かすのは「気持ち」です。
この違いに気づかないまま進めると、
説明は上手いのに決まらない営業になってしまいます。
感情が動いていない商談で起きていること
感情が動いていないとき、
お客様の頭の中ではこんなことが起きています。
- 理解はできた
- でも、今決めなくてもいい気がする
- 何か引っかかるけど、言葉にできない
- 断るほど嫌でもない
つまり、
「止まっている」状態です。
この状態では、
どれだけ追加説明をしても前には進みません。
営業が見落としがちな「感情が動いていない7つのサイン」
サイン① 相づちが「正解探し」になっている
- なるほど
- 確かに
- おっしゃる通りですね
一見、前向きに見える反応ですが、
感情が動いているときの相づちは、
- それ、面白いですね
- そこは考えていませんでした
といった 感情の揺れ が含まれます。
無難な相づちばかりのときは、
まだ心は動いていません。
サイン② 自分の話がほとんど出てこない
感情が動き始めると、人は自然と
- 自社の状況
- 過去の失敗
- 本音の悩み
を話し始めます。
それが出てこないまま
説明だけが進んでいる商談は、
「聞く側」に徹している証拠です。
サイン③ 判断を未来に先送りする言葉が増える
- いずれは必要だと思っています
- 将来的には検討したい
- タイミングが合えば
これは前向きではなく、
決断を避けているサインです。
サイン④ 質問が安全圏から出ない
- 導入までの流れ
- 一般的な事例
- 他社の反応
感情が動くと、
質問は「自分ごと」に変わります。
- うちの場合だとどうですか?
- 失敗するとしたら、どこですか?
- もし導入したら、○○は解決できますか?
そこまで踏み込めていない場合、
まだ決断の準備ができていません。
サイン⑤ 会話のテンポが一定のまま
感情が動くと、会話には
- 間ができる
- 沈黙が増える
- 話すスピードが変わる
といった変化が起きます。
最初から最後まで
一定のテンポで進む商談は、
感情の揺れが起きていない可能性が高いです。
サイン⑥ 決断に必要な人の話が出てこない
- 誰が最終判断者か
- 誰に説明する必要があるか
これが話題に上がらないのは、
「決める前提」で考えていない証拠です。
サイン⑦ 「検討します」が具体化しない
- いつまでに?
- 何を確認する?
これが曖昧なまま終わる商談は、
感情が動いていない典型例です。
多くの営業がやってしまうズレた一手
感情が動いていないとき、
多くの営業はこうします。
- 追加資料を送る
- 数字を補強する
- 実績を重ねる
しかしこれは、
「もう分かっている」相手に
さらに説明を重ねている状態。
結果、相手はこう感じます。
「分かった。でも今じゃない。」
「そもそも、そこまで興味がない。」
お客様の心を動かしてこそ、決めれる営業マンです。
決まる営業がやっている「感情確認」
決まる営業は、
感情が動いていないサインに気づくと、
説明を止めます。
そして、こう聞きます。
- 正直なところ、引っかかっている点はありますか?
- もし決めない理由があるとしたら、何でしょう?
- 今日の話を聞いて、率直にどう感じましたか?
ここで初めて、
相手の本音が出てきます。
感情が動いた瞬間に起きる変化
感情が動き始めると、
- 表情が変わる
- 話す量が増える
- 沈黙が生まれる
そして多くの場合、
少しネガティブな本音が出てきます。
これはチャンスです。
なぜなら、
本音が出た=決断に近づいた
というサインだからです。
ネガティブな本音を聞けたら、その✖を〇に変える動きをするだけです。
そこに営業マン自身の思いも乗せることができると更に良いでしょう。
おわりに 決まらない商談は「途中」で止まっているだけ
論理で納得しているのに決まらない。
それは失敗ではありません。
感情に触れる前で止まっているだけです。
説明を増やすより、
正解を押し付けるより、
一度立ち止まり、
「今、気持ちはどうですか?」
と聞けるかどうか。
そこが、
選ばれる営業と、
惜しい営業の分かれ道になります。

