「お願いしていないのに、なぜか全部つながっていった」
営業をしていると、こんな理想のような展開を想像したことはないでしょうか。
- すごい経営者に相談した
- 少しアドバイスをもらえた
- 自身の事業に関係ある人を紹介してもらえた
- いつの間にか事業を一緒に進めていた
現実には、 「相談しただけで終わった」 「一度きりで関係が止まった」 という経験のほうが多いかもしれません。
でも実は、 格上の人ほど、ある条件がそろうと自然に協力してしまうことがあります。
今回はその仕組みを、 筆者が先輩経営者から教えてもらった「サラダの話」を通して解説します。
ポイントは、 売り込まないことでも、 お願いしないことでもありません。
一緒に考える余白を、どう作るか
です。
サラダの話 すべては「完成していない相談」から始まった
あなたは、 とてもおいしい野菜を安定して仕入れられるルートを手に入れました。
「この野菜、絶対に価値がある」
そう思い、 商品にして販売したいと考えます。
そこで頭に浮かんだのが、
「知り合いの、めちゃくちゃすごい経営者」
に協力してもらうことでした。
ただし、ここで多くの営業がやってしまう失敗があります。
多くの営業がやりがちなNG行動
- 商品を完成させてから相談に行く
- 価格も売り方も固めてしまう
- 「どう思いますか?」と評価を求める
この状態で相談すると、 経営者は審査する側になります。
すると、
- 表面的なアドバイス
- 当たり障りのないコメント
- 深くは関わらない距離感
で終わってしまうことがほとんどです。
裏技①|あえて未完成のまま相談する
今回の裏技は、とてもシンプルです。
完成させずに相談に行く
あなたは、こう切り出します。
「おいしい野菜ができたので、これを使って何かやりたいんです。 でも、どう形にしたらいいか分からなくて…」
商品名も、 売り方も、 正解も持っていかない。
この瞬間、 経営者の頭が動き始めます。
「なるほど……それなら──」
「それならサラダがいいんじゃない?」が生まれる
経営者は、 野菜の特徴を考え、 頭の中でイメージを組み立てます。
そして、自然とこう言います。
「それなら、サラダがいいんじゃないかな?」
この一言が出た時点で、 すでに関係は一段階進んでいます。
なぜなら、 そのアイデアは経営者自身が出したものだからです。
人は、自分のアイデアに対して、 無意識に責任と愛着を持ちます。
裏技②|まずは素直に形にしてみる
ここであなたがやることは一つだけ。
「分かりました。やってみます!」
完璧でなくていい。
まずはサラダを作り、 持っていきます。
「サラダ、作ってみました!」
「彩りがいまいちだな」が出たら、もう勝ち
サラダを見た経営者は、こう言います。
「味はいいけど、ちょっと彩りが弱いな。赤いパプリカとか入れたら?」
ここで反論してはいけません。
正解は、
「なるほど、確かにそうですね」
ただし、問題が一つあります。
「でも、パプリカの仕入れルートがないんです」
裏技③|「できない理由」を相談に変える
この一言を、 言い訳で終わらせるか、 相談に変えるかで、流れが変わります。
「実はパプリカの仕入れルートがなくて…」
すると経営者は、自然にこう言います。
「それなら、知り合いの◯◯さんに相談してみたらいいよ」
こうして、 人の紹介が生まれます。
改良して、もう一度持っていく
紹介先でパプリカを仕入れ、 改良したサラダを再度持っていきます。
「パプリカを入れてみました。これでどうでしょう?」
「いいね!」
…しかし、ここで終わりません。
「あれ? ドレッシングはついてないの?」
ドレッシング問題が生む、次の当事者意識
確かに、 ドレッシングは必要です。
あなたは、こう返します。
「このサラダに合う、おいしいドレッシングがあればいいんですが…」
すると経営者は、迷いなく言います。
「それなら、◯◯さんに相談してみなさい。 話は通しておくから」
数日後──
「すごくおいしいドレッシングを用意してもらえました!」
「これなら売れる」が出たら、最終段階
完成度が上がったサラダを見て、 経営者は言います。
「うん、これなら売れるんじゃないかな?」
あなたは、正直に伝えます。
「ただ、販売経験がなくて…どう販路を広げたらいいか分からないんです」
すると──
「それなら、うちで販売してあげようか?」
気づいたら、事業を手伝っていた
あなたは驚きます。
「いいんですか?ありがとうございます!」
経営者は、笑いながらこう言います。
「ん? 気づいたら、君の事業を手伝っちゃってるじゃないか」
ここまで一度も、
- 協力してください
- 手伝ってください
とは言っていません。
でも、結果として手伝ってもらっているのです。
なぜ、ここまで協力が広がったのか
理由はシンプルです。
- アイデアを出した
- 改善した
- 人を紹介した
- 販売に関わった
すべての工程に、 経営者自身が関与しているから。
人は、自分が関わったものを、 途中で放り出せません。
営業に置き換えると見えてくる本質
このサラダの話は、 営業そのものです。
- 完成品を売り込まない
- 未完成の状態で相談する
- 出た意見を形にする
- できない部分は、また相談する
こうして、 相手は「協力者」ではなく、 当事者になっていきます。
明日から使える3つの裏技
1. 完成度は6割で止める
余白があるから、相手は関われます。
完成していないからこそ、アドバイスができますし、
自分事にすることができるのです。
2. 正解を相手に委ねる
評価ではなく、相談を持ち込む。
「協力してください」なんて話は、常日頃言われている中で相談をするから話を聞いてもらえます。
そして、その相談でもらった回答の通りに動くことがポイントです。
3. できないことほど隠さない
弱さは、次の協力の入口です。
協力者には、まだ経験がなく、知見がないことを正直に伝えましょう。
できない部分があって、できることが魅力的であれば協力者は集まります。
協力は「お願い」ではなく「構造」で生まれる
格上の人に協力してもらうために、 必要なのは立場でも、話術でもありません。
必要なのは、 一緒に作っていく構造です。
完成していないサラダから始まった相談が、 気づけば事業になっていた。
これは特別な話ではありません。
構造を作れば、 協力は自然に生まれます。
それが、 格上に協力してもらうための、 本当の裏技です。

