同じ内容なのに「聞かれる営業」と「流される営業」
不思議なことがあります。
同じ商品、
同じサービス、
同じような価格帯。
それなのに――
ある営業の話は最後まで聞かれ、
別の営業の話は途中で終わる。
特に相手が
経営者や役職者など、いわゆる格上の人になると、
この差ははっきり出ます。
- 話を遮られない
- 質問が増える
- 「それ、もう少し詳しく聞かせて」と言われる
一方で、
- 表情は穏やか
- 否定もされない
- でも、話は広がらない
この差は、
話の上手さでも、資料の完成度でもありません。
決定的に違うのは、
その営業が「何者として話しているか」です。
格上の人は「営業の話」を聞いていない
まず大前提として、
経営者や役職者は、
営業の話を聞いているつもりはありません。
彼らが聞いているのは、
「売り文句」ではなく、
考える要素があるかどうかです。
だから、どんなに丁寧でも、
どんなに実績を並べても、
「売りたい空気」が出た瞬間、頭は切り替わります。
「ああ、営業だな」
この瞬間、
相手の思考は防御モードに入ります。
売りたい人が無意識に出してしまうサイン
本人は気づいていません。
でも、格上の人ほど一瞬で察知します。
よくあるサイン
- 早めに結論を言いたがる
- 商品の良さを先に伝える
- 「おすすめ」「メリット」を強調する
- 相手の話を聞きながら、次に言うことを考えている
これらはすべて、
「売る側の都合」から出ている行動です。
すると相手は、こう感じます。
結果、
話は聞いてもらえても、
思考には入れてもらえないのです。
格上の人が耳を傾けるのは「一緒に考える人」
一方で、
話を最後まで聞いてもらえる営業は何が違うのか。
それはシンプルです。
最初から「答え」を売ろうとしない。
彼らは、
商品やサービスを結論として出しません。
まずやるのは、
状況の整理です。
「一緒に考える人」がやっている最初の一言
例えば、こんな入り方です。
- 「今の状況を整理すると、こう見えます」
- 「表に出ていない前提をまとめると、この3点かなと」
- 「選択肢を並べると、実は悩みどころが変わると思っていて」
ここには、
売りたい気配がありません。
あるのは、
思考を共有しようという姿勢だけ。
この瞬間、
相手の頭の中ではこう切り替わります。
格上の人が「話を聞く」と決める基準
経営者や役職者が、
営業の話を聞くかどうかを決める基準は、とても現実的です。
それは――
自分の希望に向かって思考が前に進むかどうか。
- 新しい視点があるか
- 整理されているか
- 判断が楽になるか
このどれかを感じた瞬間、
相手は聞く側になります。
逆に、
説明が増えるほど頭が疲れるので、
どんなに正しくても距離を置かれます。
説明は、相手が話しを聞きたくなってからでないと逆効果です。
「説明」より「整理」が価値になる理由
多くの営業は、
「説明すれば伝わる」と思っています。
でも、格上の人ほど、
説明される情報はすでに知っていることが多い。
彼らにとって足りないのは、
情報ではなく「整理」。
- 何が問題で
- どこが曖昧で
- どこを決めれば前に進むのか
これを代わりに整理してくれる人は、
一気に話を聞く対象になります。
一緒に考える人は、相手に考えさせすぎない
ここも重要なポイントです。
売れない営業ほど、
と判断を丸投げします。
一緒に考える営業は違います。
自分の仮説を必ず添える。
だから相手は、
ゼロから考えなくていい。
「そこは違うな」
「いや、その整理は合っている」
この微調整に参加した瞬間、
相手は当事者になります。
当事者になった瞬間から自分事となって検討するので、
話が一気に進みやすくなるのです。
売れる営業ほど「正解」を出そうとしない
意外かもしれませんが、
話を聞かれる営業ほど、
正解を断言しません。
なぜなら、
正解を決めるのは相手だと分かっているから。
営業がやるべきなのは、
- 選択肢を見せる
- 判断軸を整える
- リスクを言語化する
ここまで。
だからこそ、
経営者や役職者はこう感じます。
「この人と話すと、頭が整理されていいな」
この瞬間から、あなたは一営業ではなく、パートナーの立ち位置に代わっているのです。
「売りたい人」と「一緒に考える人」の決定的な違い
ここまでの話をまとめると、違いは明確です。
| 売りたい人 | 一緒に考える人 |
|---|---|
| 結論を急ぐ | 整理から入る |
| 商品が主役 | 状況が主役 |
| 判断を求める | 判断を楽にする |
| 説明が多い | 要点だけ伝える |
どちらが、
格上の人にとって「話を聞く価値があるか」は明白です。
話を聞かれるかどうかは、入口で決まっている
最後に、この記事の要点を整理します。
- 格上の経営者は「営業の話」を聞いていない
- 聞いているのは「考える材料になるかどうか」
- 売りたい人は、無意識に主導権を手放す
- 一緒に考える人は、整理と仮説を差し出す
- 話を聞かれるかどうかは、最初の立ち位置で決まる
もし、
「ちゃんと説明しているのに、手応えがない」
と感じているなら、
それは説明不足ではありません。
売る人として話しているか、
共に考える人として話しているか。
その違いだけです。
共に考える営業として、新たなスタートを切りましょう。

