「その提案、刺さらない…」の根本原因はどこにある?
「いい提案だったはずなのに、なぜか断られる…」
「相手がピンと来ていない空気を感じる」
そんな経験は、営業なら一度はあるはずです。
しかしその原因、多くの場合は 提案内容そのものではありません。
顧客自身が「必要だ」と自分の言葉で語ることができていないからです。
そこで威力を発揮するのが ディスカバリー話法。
これは、営業が一方的に情報提供するのではなく、
顧客の課題・価値観・優先順位を顧客自身に気づかせる会話技術です。
心理学的にも、人は
人から押し付けられた答えより、 自分で気づいた答えを強く信じる
という性質があります。
提案が「他人事」から「自分事」に変わる。
その瞬間をリードできるのが、ディスカバリー話法なのです。
本記事では、営業現場ですぐ使える具体例とともに、
その考え方・質問の型・活用ステップまで網羅的に解説します。
ディスカバリー話法とは?営業に必要な3つの発見
ディスカバリー(Discovery)=発見。
営業では、次の3つの発見を引き出すことを指します。
| ディスカバリーの対象 | 内容 |
|---|---|
| ①課題の発見 | 顧客が気づいていない本当の問題を見える化 |
| ②価値の発見 | その問題を解決する理由を考えてもらう |
| ③優先順位の発見 | 「いま動くべきだ」と本人が判断できる状態 |
🔍ポジティブな焦りを引き出す
「絶対解決すべき課題だよな…」
「この問題、思ってたより大きいかも…」
顧客がそう感じると、行動が一気に加速します。
営業が語るより、顧客自身が語ったほうが説得力は桁違いなのです。
つまり、顧客が自分で事実確認をし、気づくことが重要なのです。
その発見へのアプローチを営業マンができるようになることで、意図的に行動を加速させることが可能になります。
なぜ顧客は自分の課題を話さないのか?
営業が聞けば顧客は課題を語ってくれる、
そんな甘い話ではありません。
多くの顧客は…
| 顧客心理 | 言動 |
|---|---|
| 課題を言語化できていない | 「特に困ってないですよ」 |
| 深掘りされたくない | 表面的な回答だけで終わる |
| 提案につながるのが分かると身構える | ガードが固くなる |
つまり顧客は、課題を抱えているのに
自覚していない or 触れたくないのです。
だからこそ、
課題に気づいてもらう質問力が勝負を分けます。
ディスカバリー話法 黄金フロー5ステップ
ディスカバリー話法というのは、ただ質問すればいいわけではありません。
会話には流れがあります。
ここでは、成果が出るフローを公開します。
ステップ1 現状を把握してもらう
例
「いま最も時間がかかっている業務はどれですか?」
ポイント:顧客の思考を整理させる
課題や問題を事実確認するためには、現状をしっかりと把握することが必要です。
まずは、現状把握のための質問を投げかけましょう。
ステップ2 問題の存在に気づいてもらう
例
「それにどれくらいコストがかかっていますか?」
ポイント:数字化すると危機感が生まれる
上記のように問題を具体的な数値として把握させることで、問題の重要性を正しく確認しましょう。
コストなのか、時間なのか、数字で認識する質問をしましょう。
ステップ3 問題が放置された未来を考えてもらう
例
「もし半年間そのままだと、どうなりそうですか?」
ポイント:行動しないリスクを顕在化させる
行動しないことで、どれだけの損失が出るのか認識させましょう。
そのことで、顧客に危機感を与え解決のための行動を加速させることができます。
ステップ4 解決による価値を考えてもらう
例
「改善できたら、一番助かる点はどこですか?」
ポイント:課題解決のメリットを顧客の言葉で表現
次はその問題を解決したら、どれくらい改善するかイメージをさせましょう。
いいイメージが浮かんでしまったら、行動せずにいられなくなります。
🔹ステップ5:「いま動く理由」を顧客が語る
例
「いつまでに改善したいとお考えですか?」
ポイント:納期・優先順位の発見 → 即行動
この流れに沿えば、顧客は自然と
「いま対応すべき」と結論づけます。
典型的な悪い質問と改善例
営業でよく見られる NG例 を挙げます。
| NG質問 | 顧客心理 | 改善例 |
|---|---|---|
| 「困っていることありますか?」 | ないと答えるのが楽 | 「手間がかかりすぎる業務はどれですか?」 |
| 「改善したらどうですか?」 | 他人事の回答に | 「改善できたら、どれくらい助かりますか?」 |
| 「導入しますか?」 | 断る選択が自然 | 「いつまでに改善できたら理想ですか?」 |
失敗の多くは
Yes/Noで終わる質問
に原因があります。
ディスカバリー話法では
- 考えざるを得ない質問
- 具体性が増す質問
- 顧客の言葉を引き出す質問
を徹底します。
ケーススタディ 普通の提案が顧客の確信に変わる瞬間
BtoB SaaS営業:Aさんの例(実話ベース)
顧客:「今のシステムで特に不便はないですよ」
Aさん:「一番手間がかかるのはどの業務ですか?」
▼
顧客が業務プロセスを語り出す
▼
Aさん:「その作業に1件あたり何分かかっています?」
▼
顧客が計算し始める
▼
「1ヶ月で50時間…実はかなり時間を失っていますね」
▼
顧客自身がコストの大きさに気づく
▼
Aさん:「もし1ヶ月後に改善できていたら?」
顧客:「すぐにでも導入を検討したいです」
つまり、提案内容は変わっていないのに
顧客の認識が変わっただけで受注は決まるのです。
ディスカバリー話法を成功させる3つのスキル
①聞き方のスキル
- 相づち
- オウム返し
- メモ(顧客の発言は価値そのもの)
②掘り下げの技術
- 「具体的には?」
- 「なぜそう思われますか?」
- 「他にありますか?」
③否定をしない姿勢
質問は追及ではなく、伴走。
顧客が安心して話せる空気を作ることが最優先。
提案前に確信をつくるチェックリスト
提案が刺さるかは、提案前にほぼ決まっています。
| 質問 | Yes/No |
|---|---|
| 顧客自身の言葉で課題を語っているか | ○ / × |
| 数字で問題を可視化できているか | ○ / × |
| 行動しないリスクを理解しているか | ○ / × |
| 解決後の理想を顧客が表現しているか | ○ / × |
| 導入時期を顧客が提示しているか | ○ / × |
3つ以上「Yes」で、提案の勝率は劇的に上がります。
まとめ 営業の本質は答えを渡すことではない
ディスカバリー話法の本質は、
顧客の中にある気づき を引き出すこと。
営業の役割は、答えを押し付けることではありません。
顧客が 自分の意思で決められる状態 に導くこと。
これができれば、
- 商談は前向きに進む
- 価格競争に巻き込まれない
- 長期的な信頼関係が生まれる
まさに 顧客を成功へ導く営業 です。
次の一歩 今日から使える3つの質問
- 「いちばん面倒だと感じている業務はどれですか?」
- 「その時間を削れたら、何に使いたいですか?」
- 「それはいつまでに実現したいですか?」
この3つを使うだけで、
商談の空気は驚くほど変わります。
あなたの営業が、
提案を「押すもの」ではなく、
顧客と一緒に「見つけるもの」へと変わりますように。

