買わない理由より「失う理由」に人は強く反応する
「良い提案のはずなのに、まだ様子を見たいと言われる…」
「顧客が決断してくれず商談が長引く…」
営業マンを悩ませるこの問題。
実は、商品価値の訴求だけでは限界があるからです。
そこで威力を発揮するのが 損失回避話法。
これは、人が持つ心理の特性
「利益を得る喜びより、損をする痛みを避けたい」
という行動原理を活かした営業技法です。
期待効果を語るだけでは動かない顧客も、
「今動かないと損をする」
と理解した瞬間、意思決定が前へと傾きます。
本記事では、
- 今日から使える損失回避話法の型
- 顧客心理の変化を促す質問設計
- 実例とセリフ例
を網羅して解説します。
営業で最も重要な瞬間で武器になる話法を、ぜひ身につけてください。
損失回避話法とは?顧客を後押しする「本能」を活かす
まず前提となる顧客心理を整理しましょう。
人は、
| 状況 | 感情の強さ |
|---|---|
| 10万円得られる嬉しさ | 小 |
| 10万円失う恐怖 | 大 |
これが 損失回避バイアスと言われるものです。
手に入れる幸せより、失う恐怖のほうが感情の強さが大きいというものです。
営業ではこの心理を触れ、
決断しないことによるリスク
を顧客に理解してもらうことが大切です。
つまり損失回避話法は、
未来の苦しみを先回りして見える化する技術なのです。
メリット訴求だけの営業が刺さらない理由
従来の営業トークはこうです
正しいですが、刺さりません。
なぜなら顧客は、
- いまの状態でも何とか回っている
- 新しい行動には手間や不安がある
という心理を持つため行動に移りにくいのです。
結果、行動のメリットより
変化のストレスのほうが勝ってしまうのです。
だからこそ、
「何もしないほうがリスクが大きい」
状態を顧客自身が理解することが重要です。
損失回避話法の黄金フロー(営業現場で即使える)
単に「損しますよ」と脅すだけでは逆効果。
信頼を保ちつつ自然に意思決定につなぐための
5ステップフローを紹介します。
◆STEP1 現状の問題点を顧客自身に言語化してもらう
例:「月間で最も無駄が発生している業務はどれですか?」
このように顧客に質問をして、現在の状況を事実確認してもらいしましょう。
◆STEP2 そのまま放置した場合の影響を想像してもらう
例:「半年後も変わらないと、どうなっていますか?」
ここでは、問題を放置したことによる損失を、具体的にイメージするよう促します。
◆STEP3 機会損失を数字で可視化する
例:「1件あたり◯円として年間ではどれくらいになりますか?」
先ほどしたイメージを具体的な数字(金額、時間等)に落とします。
◆STEP4 今動くメリットより動かないデメリットを明確化
例:「他社が改善する中で遅れる可能性はありませんか?」
機会損失を具体的に把握した上で、今動かないことによるデメリットを把握させましょう。
◆STEP5|意思決定を後押しする一言
例:「この課題、先に手をつけるべき優先度は高いですよね?」
最終的なクロージングを実施します。
この流れで顧客の思考は
「導入しない理由、あるかな?」
→「むしろ早く解決すべきだ!」
と自然に変化するのです。
よくあるNGトークと改善例
| NG例 | 顧客の反応 | 改善例 |
|---|---|---|
| 「導入しないと損ですよ」 | 押し売りに感じる | 「改善が遅れるほど差が開いてしまいます」 |
| 「他社は導入してます!」 | 比較されるのは嫌 | 「競合との差を縮める機会になります」 |
| 「今だけの価格です!」 | 不信感が芽生える | 「今のコストが膨らむ前に対策できます」 |
ポイントは、顧客の言葉で損失を認識してもらうことです。
そのため意見を伝えるのではなく、質問をすることで顧客自身が認識できるよう促しましょう。
実例で理解!受注率が2倍に上がった商談フロー
BtoBサービス営業:Sさん(実話ベース)
顧客:「今すぐ必要ってわけじゃないので…」
Sさん:「実は皆さん最初そうおっしゃるんです。
例えば、今の無駄な工数って年間でどれくらいですか?」
顧客が計算すると
「100時間以上無駄にしてますね…」
↓
Sさん:「その分を人件費に換算すると、おいくらいくらいになりますか?」
顧客:「うわ!30万円以上じゃないですか…」
↓
Sさん:「この時間で、他社はたくさんの改善を進めています。
早めに手を打つか打たないかで、将来大きな差がでると思いますが、いかがでしょうか?」
顧客:「早めに検討したいです」
Sさんは、途中で提案メリットは語っていません。
これは、顧客自身が 損失に気づいたことで決断したのです。
損失回避話法を成功させるための注意点
不安をあおりすぎない
恐怖は短期的には効きますが、顧客との信頼関係が崩壊する可能性があります。
恐怖はバランスを意識してお伝えしましょう。
数字・事実をベースに会話する
根拠のある損失は説得力が段違いとなり、顧客もイメージしやすいです。
一緒に解決するパートナーとして並走する
営業が行うことは、「脅し」ではなく「支援」。
顧客が望む未来のために、今したほうが良いと思う支援を、心から行いましょう。
すぐ使える!シーン別フレーズ集
| シーン | 一言フレーズ |
|---|---|
| 予算決裁が遅れている | 「遅れれば遅れるほど必要コストが膨らみます」 |
| 導入時期を先延ばし | 「改善効果が出るタイミングも後ろ倒しになります」 |
| 他社比較で迷っている | 「判断が遅れるほど、機会を失う可能性があります」 |
| 現状維持を選びそう | 「現状維持にも、リスクは隠れています」 |
このフレーズは、明日から商談で確実に使えます。
ただし、使うタイミングや、伝え方によっては、顧客が不信感をいただく場合もあるので、注意しましょう。
提案前に使えるチェックリスト
| 質問 | Yes/No |
|---|---|
| 数字で損失を提示できているか | ○ / × |
| 顧客自身に損失を語らせたか | ○ / × |
| 放置した未来を想像させたか | ○ / × |
| 急ぐ理由を顧客が理解しているか | ○ / × |
| 最後に行動意欲を引き出せたか | ○ / × |
4つ以上Yesなら、上手な損失回避話法ができています。
話法を通じて、契約や提案が決まる可能性が高い状態です。
まとめ 顧客が動くのは「未来の痛み」に気づいた瞬間
損失回避話法は、
急がせる営業ではなく、焦らせる営業でもありません。
顧客が、
「本当に困る前に動こう」と自分の意思で決断できるよう導くもの。
顧客の成功を後押しするからこそ、
それでもやらないという選択が
最大の損失だと気づいてもらうのです。
売り込まずに決まる営業へ。
損失回避話法を、次の商談からぜひ使ってみてください!

