はじめに:先輩営業との違いを感じたとき
営業として働き始めてしばらくすると、結果が伸び悩む時期が来るものです。
一方で、同期の中には「ずっと安定して数字を出す」人もいます。その差は何でしょうか?
もちろんスキルや経験、アプローチ方法も影響しますが、多くの場合、「目標をどう持って、実行に落とし込んでいるか」という点が大きな分かれ目になります。
本記事では、「そもそもなぜ営業に目標設定が必要か」「結果が出る営業と出ない営業の違い」を丁寧に説明します。
目標設定の必要性を腹落ちさせてから、目標設定を行っていきましょう。
目標がない営業が陥る 「迷走型営業」
✖ただ闇雲に動く日々
目標が定まっていないと、日々の営業活動は「やれることをやる」「来た案件を追う」「思いつきで動く」という形になりがちです。
こうした動き方は、一見忙しく見えますが、実は成果を最大化するとは言い難い動き方です。
例えば、訪問数をただ増やす、聞かれたことだけ応える、資料をただ配る、というような無方向の動き。これでは、成果に直結する行動とは言えません。
✖リソースの浪費と疲弊
リソース(時間・体力・精神力)は有限です。
目標なしで活動すると、力を入れるべきところに力を入れられず、効果の薄いことに時間を使ってしまうことも多くなります。
結果、疲れてしまい、「今日はもういいや」という気持ちが早めに出てやるべきことをやらなくなってしまう。こうなると、持続力も落ち、成績も頭打ちになります。
✖振り返りができない
「先月、自分は何を達成したか?」という問いに答えづらくなります。
数値目標や行動目標がないと、振り返りの基準が曖昧になり、改善点も見えにくくなるため、次月のアクションに結びつかないまま同じような月を繰り返すことになります。
目標設定がもたらす 3 つのメリット
目標をしっかり持つと、以下のようなメリットが得られます。
1. 行動がブレずに焦点を絞れる
目標があると、それに向けて何を優先すべきかが明確になります。
例えば、目標が「月100万円売る」なら、「見込み客を○件つくる」「既存客へのフォロー率を上げる」「アップセル提案を1日○件行う」など、具体行動が見えてきます。
こうなると、本当にやるべきことにリソースを集中できます。
2. 進捗が見える → コントロールできる
目標があると、今、自分がどれだけ目標に近づいているか・遅れているかが見えます。「あと何件必要か」「1日あたり何をすべきか」が目に見えるため、リカバリーも早くなります。
「進捗が見える」ことは、モチベーションの維持にもつながります。
3. 振り返りと成長につなげられる
目標と実績を比較できるからこそ、成功要因と課題が明らかになります。
「この施策が効果的だった」「あのアプローチは反応が薄かった」など、傾向が見えてきます。
次月や次シーズンの目標立案や改善案に、実際のデータを活用できます。
「目標 なし」と「目標 あり」 の比較実例
実例:Aさん vs Bさん(仮名)
| 項目 | Aさん(目標なし) | Bさん(目標あり) |
|---|---|---|
| 月の目標 | 特になし、「やれるだけやる」 | 月売上150万円、件数20件 |
| 行動プラン | 毎日飛び込み・テレアポ・訪問を混在 | 初旬=新規開拓、中旬=フォロー、後半=追客 |
| 進捗管理 | 感覚的に「順調だろう」と判断 | 毎週進捗チェック、ズレが出たら調整 |
| 振り返り | 「先月なんとなく忙しかった」 | 「新規が半分しかとれなかった」「フォロー改善が課題」 |
| 結果 | 安定せず月ごとのばらつき大 | 安定して達成、改善サイクルが回り始めた |
この比較を見ると、目標を持って動いた B さんがブレずに行動でき、改善と成長を続けるサイクルを作れていることが分かります。A さんは「頑張ったつもり」になりやすく、次月に同じ課題を持ち越すことになりがちです。
目標を持つことへの 3 つの心理的効果
目標設定の効果は、行動面だけでなく、心理面にも大きな影響を与えます。
1. モチベーションの源になる
目標がなければ、日々の営業は「やらされ感」が強くなります。一方、目標があれば、「これを達成したい」「自分を超えたい」という意志が働き、主体的に動きやすくなります。
2. 「自信」を育てられる
目標をクリアすると、「自分にもできる」「今日も前に進めた」という感覚が得られます。これが小さな成功体験となって、自信を育ててくれます。逆に目標なしでは、成果が出ても「たまたま」「運が良かった」と感じやすく、実感が残りにくいです。
3. 意識が高くなる(集中力・選択眼)
目標があると、日常の選択が変わります。「このアクションは目標に近づくか?」「今日この時間を使う価値は?」という意識が働き、無駄な会話・無意味な移動・非効率な活動を自然と排除できるようになります。
目標があるだけでは不十分。その先にあるもの
目標だけを持っていても、実際に動かないと意味がありません。ここからは、「目標 → 行動 → 検証 → 改善」のサイクルを回すために大切なポイントを簡単に紹介します。
目標を行動レベルに落とす
売上や件数などの大きな目標だけで終わりにせず、毎日の行動レベルに落としましょう。
たとえば、月100万円を目指すなら、「1日で商談を3件つくる」「既存客に必ず1通フォローメールを送る」「新規見込みを○件つくる」など、具体的な行動目標に落とすことがポイントです。
具体的な行動目標は、これだけやれば売上などの大きな目標に届くだろうという設定にしましょう。
定期的な振り返りと調整
週次・月次で目標と実績を比較し、ズレがないか確認します。ズレがあれば、早めに行動を変える(リソースを振り替える、方法を変えるなど)ことが重要です。
行動を変えるタイミングで、相談することもオススメです。
フィードバックと学びを取り入れる
振り返りで浮かんだ成功要因・改善点を記録し、それを次月の目標・行動に取り入れましょう。
また、上司・先輩・仲間との共有や相談も、視点を広げるうえで有効です。
特にうまくいっている人に相談すると、自身の課題の解決方法が見えることが多々あります。
少し背伸びする目標で挑戦感を持つ
あまりにも簡単すぎる目標では、成長感が薄れてしまいます。ただし高すぎても挫折につながるので、「少し手が届かないくらい」の目標を設定すると、チャレンジ感が持て、成長も促せます。
「本気で頑張れば手が届く」くらいの目標がちょうどいいです。
まとめ 目標を武器に、営業力を強化しよう
営業マンにとって、目標設定は単なる「数字決め」ではありません。むしろ、効率的に行動し、モチベーションを高め、成長の道筋を持つための道具です。
「目標なし → 迷走 → 結果が不安定」というサイクルから抜け出すためにも、まずは次のステップを取ってみてください
- 今期の大目標を言語化する
- その目標を月次・週間・日次行動に分解する
- 進捗を可視化し、ズレがあれば軌道修正する
- 振り返りから改善案を抽出し、次に活かす
目標設定をしっかりやることで、あなたの営業スタイルが大きく変わるきっかけになるはずです。

