質問話法とは?
営業の現場でよくあるのが、つい「商品の説明」を長くしてしまうことです。
しかし、お客様は必ずしも「聞かされる」ことを望んでいるわけではありません。
そこで役立つのが 質問話法 です。
これは「こちらが話す」よりも「相手に話してもらう」ことを中心に進める営業手法。
たとえば、
- 「今のサービスで一番不便に感じているところはどこですか?」
- 「導入後にどんな効果が出ると一番嬉しいですか?」
と質問することで、お客様が自分の言葉でニーズを語ってくれるのです。
質問話法を使うメリット
営業する側のメリット
- お客様の本音を引き出せる
相手が自分から話すことで、隠れた課題が見えやすくなります。 - 信頼関係を築きやすい
「この人は自分の話を聞いてくれる」と感じてもらえます。 - 無理な売り込みを避けられる
相手の答えに沿って提案するので、自然にクロージングへ進めます。
会話の流れで言わせた言葉ではなく、顧客から話した内容こそが真のニーズです。
そこに共感し、信頼関係が構築できると、自然に提案を行うことができるようになります。
お客様にとってのメリット
- 自分の考えを整理できる
質問に答える中で「何が大事か」がはっきりします。 - 押し売り感がない
聞いてもらえる安心感から心を開きやすくなります。 - 納得して選べる
自分で言ったことが提案に反映されるため、決断に迷いが減ります。
顧客自身も、自分のニーズが整理できていないことはよくあります。
それを営業から質問されることで整理できるのが質問話法の魅力です。
本当に必要と理解して購入できれば、満足度の高い買い物ができ、顧客の幸福度も高くなります。
こんな場面で効果的!
- 初対面のアイスブレイク
「お忙しい中ありがとうございます。今日は何か気になることはございますか?」 - 課題を探るとき
「普段の業務で一番手間がかかるのはどんな部分ですか?」 - 提案前の確認
「もし改善できるとしたら、どの点を一番優先したいですか?」 - 契約前の後押し
「今回の提案で、一番安心できる点はどこでしたか?」
提案時に、顧客が判断する際の優先順位を聞くのも重要です。
顧客自身も整理できますし、営業もどのような提案が顧客に一番喜んでもらえるか判断がしやすくなります。
実践のコツ(ステップ式)
ステップ1:オープン質問で広く聞く
「はい・いいえ」で終わらない質問をする。
例:「現在のサービスに満足されている点と、不満な点を教えていただけますか?」
ステップ2:クローズ質問で深掘り
「〇〇という点はどうですか?」と具体的に絞る。
例:「コストと使いやすさ、どちらを優先されますか?」
ステップ3:感情に触れる質問をする
「それが改善されたら、社員の皆様に喜んでいただけそうでしょうか?」
ステップ4:まとめて確認する
「つまり〇〇が課題で、△△を優先されたい、ということですね?」
ステップ5:答えに基づいて提案する
「おっしゃった安心感を重視できるのが、このプランです」
やりがちな失敗例
① 質問が多すぎて尋問のようになる
👉 コツ:2〜3問ごとに相槌や共感を入れましょう。
② 質問が表面的で深掘りできない
👉 コツ:「もし改善するとしたら?」と角度を変えて聞きましょう。
③ 答えを最後まで聞かずにかぶせてしまう
👉 コツ:まず「なるほど、そうなんですね」と受け止める。
④ 質問の意図が伝わらない
👉 コツ:できるだけシンプルに。「普段どんなときに困りますか?」など生活に近い表現を。
⑤ 答えを活かさずに説明してしまう
👉 コツ:「先ほど〇〇とおっしゃっていましたので…」と必ずリンクさせる。
実際に使える質問フレーズ集
- 「今、一番不安に感じていることは何ですか?」
- 「理想的な状態は、どんなイメージですか?」
- 「もし改善できるなら、どの順番で解決したいですか?」
- 「今後のご予定に合わせて調整できるとしたら、どんな点が助かりますか?」
- 「導入後は、どのような部分で喜んでいただけそうでしょうか?」
まとめ
営業は「話す力」よりも「聞く力」が大切です。
質問話法を使うことで、お客様の本音を引き出し、自然に信頼関係を築けます。
今日からできることはたったひとつ。
説明する前に、まず質問する。
これを意識するだけで、商談の空気が大きく変わります。
質問話法は、営業マンにとって「最高の武器」になるのです。