感情優先アプローチとは?
営業の世界では、「商品の性能」や「価格」ばかりに注目しがちです。
しかし、人がものを買うときの決め手は、理屈よりも「気持ち」です。
たとえば、スマホを買うときも「最新機能が必要だから」だけではなく、
「持っているとワクワクする」「友達に自慢できる」「安心して使える」など、気持ちの部分が大きく影響します。
このように、お客様の「感情」に寄り添って提案するのが「感情優先アプローチ」です。
感情を大切にする営業のメリット
営業する側にとって
- 覚えてもらいやすい
数字やデータは忘れても、「安心できた」「気持ちが分かってくれた」という印象は残ります。 - 信頼関係ができやすい
お客様の気持ちを理解することで「この人に任せたい」と思ってもらいやすくなります。 - 提案に力が出る
感情を加えて話すことで、ただ説明するよりも説得力が増します。
心でつながる営業や提案を行うことで、毎回新鮮な気持ちで営業をすることができます。
日々の営業活動を楽しく過ごすためにも、「感情優先アプローチ」はおすすめです。
お客様にとって
- 安心できる
「自分の悩みを分かってくれている」と感じられます。 - 選びやすい
理屈だけで比べるよりも、「これなら安心できそう」と決めやすくなります。 - 満足度が高まる
気持ちが満たされると、買ったあとも「よかった」と思ってもらいやすく、長い付き合いにつながります。
顧客にとって感情に寄り添ってくれる営業は、心強いです。
表面上で売ろうとする営業が多く、顧客の心は疲弊しています。
その中で、心でつながるような提案は、安心につながるのです。
こんな場面で効果的!
- 初めて会うとき
「御社の業界は今こんな課題が多いですよね。大変ですよね」と共感から入ると安心感が出ます。 - 資料を使った提案のとき
数字だけでなく「導入後に得られる安心感」「社員が笑顔になるイメージ」などを加えると効果的。 - 最後の一押しの場面
「このプランで〇〇さんが安心して働けるようになりますよ」と未来の気持ちを描いて伝える。 - フォローのとき
「使ってみて、不安なところや困ったことはありませんか?」と聞くことで、安心感を持続させられます。
実践のコツ(ステップ式)
- 気持ちを聞き出す質問をする
- 「導入したら変化はありそうですか?」
- 「今の不安が解消されたら、どうなりますか?」
- お客様の声を物語にして伝える
- 「実際に使ったお客様がこれで家族も安心して眠れるようになったと話してくれました」
- 資料や話にイメージを加える
- 写真やイラストを入れる
- 「この提案で得られるのは安心です」とシンプルに言葉にする
- 自分の気持ちも込める
- 「自分も同じように悩んだことがあります」
- 「この商品は自分の家族も使っていて、本当に喜んでいます」
- 態度や声も感情に合わせる
- 相手が不安そうなら、落ち着いた声でゆっくり話す
- 相手が前向きなら、少し明るめにテンポよく話す
- 相手の感情を言葉にして返す
- 「それは不安ですよね」
- 「そう感じられるのは当然です」
実際に使える会話例
①ヒアリング
「今回の導入で、一番安心したいことはどんなことですか?」
②共感
「分かります。私も同じような不安を持っていました。」
③ストーリー
「実際、他のお客様もこの商品のおかげで夜も安心して眠れるようになったと喜んでいました。」
④提案
「このプランなら、その安心が〇〇さんの会社でも得られると思います。」
⑤クロージング
「この安心感を、ぜひ体験していただけませんか?」
やりがちな失敗例
感情優先アプローチは効果的ですが、慣れていないと「間違ったやり方」になってしまうこともあります。新人営業がやりがちな失敗を紹介します。
① 感情に寄り添うつもりが「同情」になってしまう
お客様が「最近コストが厳しくて…」と話したとき、
「大変ですよね…本当にお気の毒です」と同情ばかりになると、商談が前に進みません。
👉 解決策
「確かにコストのご負担は大きいですよね。その不安を減らせる方法を一緒に考えてみませんか?」と、理解+前向きな提案に結びつけましょう。
② 自分の感情を語りすぎる
「私も昔すごく悩んで…」「自分も安心が欲しくて…」と、自分の体験ばかり話してしまうケース。
共感どころか「結局あなたの話ばかり」と思われる危険があります。
👉 解決策
自分の経験は「お客様の気持ちに近いですよ」というつなぎの一言程度にとどめ、すぐに相手の話に戻しましょう。
③ 感情に訴えるだけで、根拠がない
「この商品を使えば絶対に安心できます!」と熱く語るだけで、数字や実績を示さないケース。
相手は「気持ちは分かるけど、本当に大丈夫?」と不安を残してしまいます。
👉 解決策
「安心できます」と伝えたら、その後に「実際に導入した企業で不良率が20%減りました」と具体的な根拠を添えることが大切です。
④ 相手の感情を勝手に決めつける
「この状況は不安ですよね?」「絶対に安心したいですよね?」と、相手が言っていない感情を先回りして決めつけてしまうパターン。
お客様は「いや、別にそこは不安じゃない」と違和感を持ち、距離が生まれます。
👉 解決策
まずは「どんな気持ちを一番大切にされていますか?」と質問で確かめてから共感するようにしましょう。
⑤ 大げさすぎて信じてもらえない
「このサービスで人生が劇的に変わります!」など、感情を盛りすぎると不自然さが出てしまい、かえって信用を失います。
👉 解決策
「このサービスで日々の不安が少し減ったという声をいただいています」と、身近でリアルな感情の変化を伝える方が響きます。
まとめ
感情優先アプローチは、「気持ちに寄り添うこと」が目的です。
しかし、同情しすぎたり、自分の感情ばかりを押し出したり、感情だけで根拠を示さなかったりすると逆効果になります。
営業にとって大切なのは、
- お客様の気持ちを「聞く」
- その気持ちに「共感する」
- そして「具体的な提案」につなげる
という3つの流れです。
気持ちと事実をバランスよく組み合わせることで、ただの説明ではなく「心に残る営業」ができるようになります。