「信頼」と「共有」でつくる情報の好循環
営業の現場では、「情報」が成果を左右します。
競合の動き、顧客の悩み、業界の流れ。こうした生きた情報をいかに早く、正確に手に入れられるかは、提案の質に直結します。
しかし、情報収集に時間をかけても、なかなか本当に役立つ話が聞けない…。
一方で、なぜか「いい情報が向こうから入ってくる」営業がいます。
この違いは一体、どこにあるのでしょうか?
この記事では、「情報が自然と集まる営業」になるための考え方と行動習慣について解説します。
「情報は、探すもの」ではなく「集まるもの」
まず認識したいのは、営業における情報の多くは「探す」より「教えてもらう」ことで得られる、という事実です。
ネット検索や資料調査だけでは得られない、リアルでタイムリーな情報
それは「人との関係性」から生まれます。
たとえば、
- 顧客との何気ない雑談から出てくる社内の動き
- パートナー企業からふと聞く業界の裏話
- 同僚がつぶやいた「最近○○の相談増えてない?」という気づき
- 顧客との雑談から出た、ちょっとした業界のニーズ
こうした情報は、「信頼関係」があって初めて自然と教えてもらえるのです。
情報が集まる営業がやっている、たった一つのこと
では、どうすれば自然と情報が集まる人になれるのか?
その核心はシンプルです。
「信頼関係 × 共有のフィードバック」です。
情報が集まる営業は、ただ人に好かれているわけではありません。
聞いた情報を自分だけで終わらせず、周りに役立て、その結果を共有しているのです。
このフィードバックが、「またあの人に教えてあげよう」という循環を生み出します。
ステップ① 信頼関係を築くには「聞き役に徹する」
まずは、情報の入り口である信頼関係の土台をつくりましょう。
情報は、「この人なら安心して話せる」と思ってもらえなければ、引き出せません。
信頼される営業が必ずやっているのは、「聞く姿勢」を持ち続けることです。
- 相手の話に割り込まない
- 表情で反応し、相づちをうつ
- 否定せず、まず共感する
- 記録ではなく記憶に残るように受け取る
- 相手の話に、的を得た質問をする
「話しやすい」「よく覚えてくれている」と感じてもらえる営業は、それだけで情報が集まりやすくなります。
相手が話してて、もっと話したくなるような聞く姿勢を意識しましょう。
ステップ② 雑談からヒントの種を拾う
本当に有益な情報は、実は雑談の中に隠れています。
たとえば、こんな会話を見逃していませんか?
「最近、同業のB社さんも新システム入れたらしいですよ」
「前は●●で困ってたけど、今はもう違う悩みなんですよね」
「A部長が急に異動になったらしくて」
こうした発言は、「へえ」で終わらせてしまえば消えていきます。
ですが、「それ、もう少し詳しく聞いてもいいですか?」と一言添えるだけで、タメになる話へと深堀りできるチャンスになります。
同業B社の話
→業界の動向や、それに対してどう思っているかがわかる
変化した今の悩み
→今の悩みがその顧客だけのもなら、顧客のニーズ。業界全体のものなら業界の最新ニーズ
A部長の異動
→決裁者の変更によるアプローチ方法の変更のための情報収集
上記のように雑談がきっかけで得られる情報がたくさんあります。
ステップ③ 聞いた情報を「すぐに活用し、還元する」
大事なのは、聞いた情報をそのままにしないこと。
得た情報を以下のように扱うことで、情報提供者との関係性が強化につながる1ステップになります。
活用例
- 別の顧客に役立て、「先日、他社さんから聞いたんですが…」と共有する
- 社内ミーティングで紹介し、議論の材料にする
- 上司や同僚に伝え、「●●さんから聞いた話なんだけど」と名前を出して伝える
このように、情報を価値を持って活用していきましょう。
誰もが情報活用はしていると思いますが、これはあくまで1ステップ。
大事なのは忘れがちな、次のステップです。
ステップ④「あの話、すごく役に立ちました!」と伝える
営業で最も見落とされがちなのが、この「フィードバック」のひと手間です。
- 「先日のお話、とても参考になりました」
- 「あの情報、社内で共有したらすごく喜ばれました!」
- 「●●さんのおかげで、新しい視点が持てました」
- 「●●さんが教えてくれた営業提案を試してみたら、契約がとれました!」
このように伝えるだけで、教える側の満足感が高まります。
これは「情報提供=価値のある行動」と認識されることを意味し、次もまた伝えたいという気持ちにつながるのです。
人は自分が役に立てたとフィードバックされたら誰もが嬉しいです。
また、その頻度が多ければ多いほど、自己肯定感が上がることにもなります
自分の自己肯定感を上げてくれる存在は大事にするので、更に色々なことを教えてくれようとするでしょう。
ステップ⑤「自分も情報の起点になる」姿勢を持つ
情報を受け取るだけでなく、自分からも発信することも重要です。
- 他社事例を要約して伝える
- トレンド情報をわかりやすく話す
- 成功失敗問わず、自分の経験を率直に話す
「この人は、役立つ情報をくれる人だ」と思われれば、相手も自然と情報を返したくなります。
情報はもらうだけでなく、交換する意識で関わっていきましょう。
情報が集まる人には循環がある
最終的に、情報が集まる営業には共通点があります。
- 情報をよく聞く(受け取る)
- 情報を活用する(広げる)
- 情報提供者に感謝を伝える(返す)
- 自分からも情報を渡す(起点になる)
この流れがある人には、自然といい話、貴重な気づきが向こうから集まってきます。
つまり、情報は「循環させる人」に集まるのです。
まとめ:営業は「情報のハブ」になることを目指そう
いい情報が集まる営業になるために、特別なスキルやテクニックは必要ありません。
大切なのは、
- 相手の話を丁寧に聴くこと
- 情報を活用して還元すること
- フィードバックを欠かさないこと
これらを丁寧に積み重ねることです。
営業は、自分自身が情報のハブとなることで、社内外に価値を提供できる存在になります。
「話してよかった」「また教えてあげたい」
そう思われる営業になれば、あなたのもとに、今日もどこかからいい情報が集まってくるはずです。