営業メールは、提案や確認事項を「文章」で伝える仕事です。しかし、直接会話するわけではないため、相手の受け取り方次第で“伝えたつもり”が“誤解”になってしまうこともあります。
たとえば、
- 曖昧な表現が原因で納期を間違えられた
- 指示したつもりが相手に伝わっていなかった
- 語気が強く感じられ、関係がぎくしゃくした
など、ちょっとした表現ミスが、信頼の損失やトラブルにつながるケースも少なくありません。
今回は、「誤解を防ぎ、トラブルを避ける営業メールの書き方」をテーマに、曖昧さをなくす表現の工夫や、トラブルになりやすいフレーズの言い換え例を紹介します。
誤解が生まれる“3つの原因”とは?
営業メールで誤解が起こる主な原因は、以下の3つです。
曖昧な表現
「なるべく早く」「一応送っておきます」「できればお願いします」など、主観や状況によって意味が変わる表現は、相手に解釈を委ねてしまい、ズレの原因になります。
曖昧な表現ではなく、「〇月〇日までに」「添付しますのでご確認お願いいたします」など具体的に伝えましょう。
主語・目的語が不明確
「お願いします」「対応します」のような一文も、主語が抜けていると「誰が何をするのか」が曖昧になります。
表現のトーンが強すぎる or 弱すぎる
必要以上に断定的な言い方は、攻撃的・命令的に受け取られることがあります。反対に、丁寧すぎる・曖昧すぎる表現は、頼りない印象を与えることも。
特に相手方に何か依頼するときは、柔らかい表現をしつつ、端的に伝えることを心がけましょう。
営業メールで避けたい“曖昧ワード”とその言い換え例
以下は、誤解を招きやすい表現と、営業メールでの言い換え例です。
NG表現 | 問題点 | 推奨表現 |
---|---|---|
なるべく早く | 期限が不明 | 〇月〇日中までにご対応いただけますでしょうか |
一応送っておきます | 受け手に責任を押し付ける印象 | 念のため資料をお送りいたします。ご確認いただけますと幸いです |
ご確認ください | 命令口調に聞こえる場合あり | お手数ですが、ご確認いただけますと幸いです |
対応します | 誰が・何を対応するのか不明 | 弊社●●が●●について対応いたします |
問題ないと思います | 判断を相手に委ねている | 現時点では問題ございませんが、念のため再度確認いたします |
ポイントは、「相手がどう受け取るか」を想像して、主語・目的語・期限などを明確にすることです。
トラブルになりやすい“表現パターン”と対策
パターン①:日時に関する曖昧さ
日付や時間は「具体的に提示」し、相手が判断しやすいよう配慮しましょう。
パターン②:依頼・お願いが伝わらない
また、「〜していただけますか?」のように依頼の意図が明確になる言い回しを心がけましょう。
パターン③:お詫びが軽く聞こえる
謝罪時は「何が問題だったか」「今後の対応」を含めて記載するのが基本です。
誤解を防ぐ“メールチェック術”
どんなに丁寧に書いても、無意識のうちに曖昧な表現が紛れ込んでいることはあります。送信前に、以下のチェックリストを活用してみてください。
✅ 営業メールの誤解防止チェックリスト
- 主語と動作がはっきりしているか?
- 期限・日付・数量などは具体的に書かれているか?
- 「なるべく」「一応」「たぶん」など曖昧表現を使っていないか?
- 相手が“何をすればいいか”が明確に伝わっているか?
- 命令口調・強すぎる断定がないか?
- トラブルや謝罪について、原因と対策がセットで伝わっているか?
送信前に「第三者の目」で読み直すことが、ミスや誤解を未然に防ぐカギになります。
もし大きなトラブルに対しての謝罪メールの場合は、上司や同僚にチェックしてもらうのも重要です。
直接的に契約に関わるような重要なメールは、自分以外の第三者に確認して送信しましょう。
まとめ:「相手目線の一文」が、信頼を守る
営業メールは、「伝える」だけでなく「伝わる」ことが重要です。特に、細かなニュアンスまで汲み取れないテキストコミュニケーションでは、少しの表現の違いが、大きな誤解やトラブルにつながりかねません。
ただ、メールは送信履歴が残るので、「言った」「言わない」で意見がぶつかったときには最強の証拠になります。
だからこそ、あいまいな表現ではなくしっかりと、尚且つ丁寧に対応することが重要です。
メール作成時は、以下の3点を意識してみてください。
- 曖昧な表現を避け、主語・目的語・期限を明確に
- 依頼や指示は、丁寧かつ具体的に
- 相手の受け取り方を想像し、“誤解の余地”をつくらない
1通のメールが、トラブルの火種にも、信頼の種にもなる。
「書く力=伝える力」を磨くことが、これからの営業に欠かせないスキルです。