「メールの文章って、そこまで気にする必要あるの?」
そんなふうに思っていませんか?
営業メールは、訪問や電話と並ぶ大切な接点です。特に初対面の相手に送るメールは、あなた自身の第一印象を決定づけることさえあります。「信頼される営業かどうか」は、メールの文面からも伝わってしまうのです。
そこで今回は、「信頼される営業メール」に必要な文章マナーと言い回しの工夫を紹介します。言葉選びひとつで、相手の印象も成果も大きく変わります。営業メールを“信頼を育てるツール”に変えるためのヒントを、ぜひ実践してみてください。
なぜ営業メールに文章マナーが重要なのか?
対面でのやりとりとは異なり、メールは「声色」や「表情」で補えない分、文章だけで相手に伝える必要があります。そのため、少しの言葉選びや文脈のズレが、大きな誤解や不信感につながることも。
特にBtoBの営業では、相手は「その人を通じて、会社の姿勢やレベルも見ている」と考えましょう。敬語の使い方、段落構成、表現の丁寧さ、すべてが“信頼残高”を左右します。
また、メールは読み返されるもの。後から見返したとき、「この人、ちゃんとしてるな」と思われるメールは、それだけで“次につながる営業”になります。
基本の文章マナー:第一印象は冒頭で決まる
営業メールの最初の3行は、まさに「名刺代わり」。その文面から、相手はあなたの人柄・姿勢・配慮を感じ取ります。
宛名と挨拶は丁寧に
株式会社〇〇
営業部 部長 〇〇様
と、会社名・部署・役職・氏名までを省略せずに書くのが基本です。相手の情報に誤りがないか、必ず確認を。
その後には、
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の●●です。
と、会社名+名前を明記しましょう。はじめてのご連絡の場合は、
突然のご連絡、失礼いたします。
を一言添えるだけで印象が和らぎます。
本題の前に一文入れる
すぐに要件に入るのではなく、ワンクッション置くのが大人のマナー。
貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
や、
◯◯様におかれましては、お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。
など、相手を気遣う一文を挟むだけで、グッと文章が洗練されます。
信頼感を高める文章のコツ:丁寧さ+わかりやすさ
営業メールにおいては、「丁寧」かつ「読みやすい」文章が求められます。どちらかに偏ると、かえって逆効果になることも。
1. 長すぎる文章はNG
文が長くなりすぎると、主語と述語の関係が分かりづらくなり、読みにくさを招きます。
本日は、先日ご提案させていただいた新サービスの内容に関して、ご確認いただきたくご連絡を差し上げた次第でございます。
本日は、先日ご提案した新サービスの件でご連絡いたしました。
文章を簡潔にしつつ、敬意は残すのがポイントです。
敬語は重要ですが、意識しすぎると内容が伝わりにくくなってしますので、注意しましょう。
断定を避け、柔らかく表現する
営業メールでは、「言い切る」より「配慮をにじませる」方が、好印象につながります。
- ✕ ご確認ください → ○ ご確認いただけますと幸いです
- ✕ お伺いします → ○ お時間を頂戴できましたら幸いです
メールの場合、文章のみで表情などが伝わらないため、言い切る表現は相手先が失礼に感じたり、圧を与えてしまう可能性があります。
口頭の場合よりも、丁寧で柔らかい表現を心がけましょう。
ただし、あまりに曖昧すぎると、何が言いたいのか伝わりにくくなるので要注意です。
よく使う営業メールの言い回し集
実際のメールで使える、営業に特化した言い回しをシーン別に紹介します。
日常で使う可能性の高いものを集めましたので、ぜひご活用ください。
【アポイントをお願いする場合】
ご多忙のところ恐れ入りますが、〇月〇日(火)〜〇月〇日(金)の間で、ご都合の良い日時をお教えいただけますと幸いです。
【資料送付時】
本日お打ち合わせの内容をまとめた資料を添付いたしました。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
【お礼メール】
本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【催促・リマインド】
ご多用の折、恐縮ではございますが、先日お送りした件につきご確認いただけましたでしょうか。お手すきの際にご返信いただけますと幸いです。
注意したいNG表現とその改善例
営業メールでは、無意識に使ってしまいがちな「不快・軽率」に見える表現もあります。以下は代表的なNG表現と、その改善方法です。
NG表現 | 改善例 |
---|---|
了解しました | 承知いたしました/かしこまりました |
~して下さい | ~していただけますでしょうか |
すみませんが | 恐れ入りますが/お手数ですが |
お疲れ様です(外部宛) | いつもお世話になっております |
社内ではOKでも、社外では避けるべき言い回しもあるため、丁寧語・謙譲語・尊敬語の違いを意識しましょう。
「いただく」と「くださる」の表現の違い
使い方で悩んでしまう敬語「いただく」と「くださる」についてもご紹介します。
「いただく」は、自分が相手から何かを“してもらう”ときに使う謙譲語です。たとえば「ご確認いただきありがとうございます」や「ご返信いただけますと幸いです」などが該当します。主語は自分です。
一方、「くださる」は、相手が何かを“してくれる”ことを敬う尊敬語で、「ご参加くださりありがとうございます」「ご対応くださいました」など、主語が相手の場合に使います。
判断に迷ったときは、「その行動をするのは誰か?」を考えると明確です。
営業メールでは「ご確認いただく」「ご検討いただく」といった表現が多く、「いただく」が頻出します。
丁寧な言葉遣いは信頼の第一歩。正しい敬語の使い分けで、相手に好印象を与えましょう。
まとめ:メールは「信頼を積み重ねる」営業ツール
営業メールは、単なる連絡手段ではありません。一通一通の文面が、相手との信頼を築く「礎」になります。
ポイントは、
- 宛名・挨拶・気遣いを忘れずに
- 簡潔で丁寧な表現を心がける
- 柔らかい言い回しで印象を良くする
- NG表現を避け、確かな文章力を磨く
信頼を得られる営業は、言葉を丁寧に扱うことを知っています。あなたのメールが変われば、商談の質も確実に変わるはずです。明日から、さっそく一通のメールから意識してみましょう。