~伝わる資料づくりは「設計力」と「デザイン思考」がカギ~
「言ったつもり」では届かない時代へ
オンライン商談やリモートプレゼンが主流になった今、営業資料の重要性はこれまで以上に高まっています。
対面では表情や声の抑揚、身振り手振りで伝えられた「熱意」や「想い」も、画面越しではその多くが失われてしまいます。
だからこそ、“目で見て伝える”資料の完成度が、商談の成否を左右する時代になったのです。
にもかかわらず、「文字だらけ」「読む気が起きない」「パッと見てわかりにくい」資料でプレゼンしてしまっている営業担当者は、少なくありません。
本記事では、聞き手の心を動かす“ビジュアル資料”の基本ルールについて、明日から使える実践ノウハウをお伝えします。
「見た目」が9割?視覚効果を活かす資料の基本設計
プレゼン資料において、最初の5秒で「読むか、読まないか」が判断されると言われます。
その判断材料は**「視覚的わかりやすさ」**です。
つい、見てもらう前提で資料を作りがちだと思いますが、見てもらえない前提でとらえ、どうしたら聞き手が見たくなる資料になるかを考えて作成しましょう。
まず意識したい3つの基本原則:
- 1ページ=1メッセージ
→ 伝えたいことを1枚に1つに絞る - 余白を活かす
→ 情報を詰め込みすぎず、読みやすさを保つ - 視線の流れを意識する
→ 左上→右下の自然な視線移動に沿って構成する
特に営業資料では、見やすさ=信頼感につながります。
「この会社は資料も丁寧に作っている」=「仕事も丁寧に進めてくれそう」という印象は、思っている以上に商談に影響を与えます。
反対にわかりづらく、ビジュアルも適当な資料だと、「この会社大丈夫かな?」と思われてしまうこともありますので、気をつけましょう。
文字ではなく「図」で伝える!ビジュアル化の工夫
営業現場では「言っていることは正しいが、伝わらない」ことがよくあります。
それを防ぐには、「言葉」よりも「絵(=ビジュアル)」を使うことが有効です。
ビジュアル資料で意識すべき代表的な要素:
- 図解(フロー・関係図):複雑な構造や手順は、図で示すと一目瞭然
- グラフ・チャート:数値や推移を直感的に伝える
- アイコン・イラスト:無機質な資料に親しみやすさとアクセントを加える
- 写真:サービスや実績の「リアルさ」を伝える
例えば、サービスの導入ステップを説明する際に、「導入の流れ」として箇条書きにするのではなく、フローチャートで見せるだけで理解度が飛躍的に上がることもあります。
資料の中に問いを入れることで、相手が先を見たくなるなど仕掛けを作るのもおススメです。
またアイコンやイラストを加える際は、同じテイストのものを活用しましょう。いろいろなテイストが混ざっていると、まとまりがないように見え、雑な資料に見えてしまいます。
「伝えたい」ではなく「伝わる」資料を作るマインド
営業マンが陥りやすいのが、「伝えたい情報を全部入れよう」とする資料づくりです。
しかし、相手が知りたいのは、自分に関係のある情報だけ。
つまり、相手視点で「どう伝わるか」を最優先に設計することが大切です。
資料作り前のチェックリスト
- この資料は誰のためにあるのか?
- 相手の立場で「知りたいこと」は何か?
- その情報は、本当に今の段階で必要か?
「全部説明しよう」とするよりも、「今はここだけ伝える」割り切りの方が、結果的に理解度も納得感も高くなるのです。
基本的に聞き手が気になるポイントは決まっています。
詳しくは「選ばれる営業の提案には“型”がある!資料づくりの全体設計とは?」で説明していますので、参考にしてみてください。
初級者でも実践できるビジュアル資料の作成ステップ
「センスがないから…」「デザインは苦手で…」と尻込みしてしまう方もいるかもしれません。
ですが、営業資料は芸術作品ではありません。あくまで、伝えるための設計と工夫です。
またデザインセンスは数をこなせば身についてきますので、がんばりましょう。
ここでは、誰でも実践できる作成手順をご紹介します。
ビジュアル資料づくりのステップ
- 相手のニーズを整理する(WhatとWhyを明確に)
- 資料の全体構成を決める(全体の流れをブロックで設計)
- 各スライドごとに「1メッセージ」の原則で情報を整理
- 視覚的に見やすくなるよう図やグラフを配置
- 色・フォント・余白など、見た目の統一感を整える
最後に、同僚や上司に「この資料、ぱっと見で伝わる?」と見せてみるのも、改善ポイントを見つける手助けになります。
ビジュアル資料が営業にもたらす3つの効果
- 理解スピードの向上
→ 説明時間が短くなり、相手の集中力が続く - 印象の定着
→ 視覚イメージは記憶に残りやすい。競合と差別化しやすい - 信頼感の醸成
→ 丁寧でわかりやすい資料は、提案自体の信頼性も高める
まとめ:営業は“説明”ではなく“共感”をつくる仕事
ビジュアル資料とは、単なる「説明ツール」ではなく、**共感を生み出すための“共通言語”**です。
資料が見やすく、わかりやすいことで、「この人の話をもっと聞きたい」と思ってもらえる。
そして、それが商談成立へとつながっていきます。
伝えたいことがあるなら、まず伝わる工夫から始めましょう。
あなたの提案が、より多くの相手の心に届きますように。